咆哮と彷徨の記録

                              

■『ダイイング・アイ』09/06/02UP



東野圭吾 光文社

東野圭吾作品にしては珍しい官能描写

バーテンダー雨村慎介は仕事帰り、後頭部を殴られる。

意識を取り戻した雨村は、2年前におこした交通事故についての記憶がすっぽり抜け落ちていた。

「今度の東野圭吾は怖いぞ」というキャッチコピーにひかれて購入した。

最近の東野圭吾さんの作品は重厚な人間ドラマ的な作品が多いためミステリー色が強いのかなと期待しつつページを読みすすめた。

相変わらず面白い。

主人公雨村の前に現れた謎の美女瑠璃子、そして雨村が2年前に起こしたという交通事故の真相、そのあたりが驚愕のラストへむけて収束していく。

怖いことは怖いが、やはり『白夜行』のほうが怖かった。

怖いというよりも不気味である。

この人の作品にはずれはないのでファンの方は読んで損なし。






■『ダ・ヴィンチ・コード〜THE DAVINCI CODE〜』05/06/24UP



ダン・ブラウン Dan Brown

訳:越前敏弥  角川書店

〜あらすじ〜

ルーヴル美術館館長ジャック・ソニエールが館内で死体となって発見される。

その日会う約束をしていたロバート・ラングランは警察から協力を求められ、ルーヴルへ。

また祖父の死に疑問を持った暗号解読官ソフィーも現場へ急行する。

『聖杯の探索』を読んでたとき、この本の帯に“聖杯伝説”と記してあったのが目にとまり衝動買いした。

『聖杯の探索』はあくまでフィクションの物語だが、(※史実にモデルがいるらしい)この本は違う

この本の冒頭の記述で一気に『ダ・ヴィンチ・コード』の世界にはまり込んだ。

一部割愛させてもらうが、
「事実 シオン〜中略〜この小説における芸術作品、建築物、文書、秘密儀式に関する記述は、すべて事実に基づいている。」

話はジャック・ソニエールの死の真相解明からはじまる。

そして彼の残した秘密解明へと話は展開していく。

その間に主人公であるロバート・ラングランによるキリスト教、レオナルド・ダ・ヴィンチ、聖杯についての事実に基づいた見解、仮説が挿入されている。

これが自分に与えた衝撃は計り知れない。

映画を見るうえで、しかもお粗末な感想をホームページで公開している自分としてはキリスト教についての知識が必要だった。

それら自分の知識、考えが足元から崩れていった。

ストーリーも予期せぬ展開でハラハラドキドキのおもしろさだが、膨大な資料・研究に基づいた見解、仮説から受けた衝撃には勝てない。(※仮説と書くのは失礼かもしれないが。)

「キリスト教」「ダ・ヴィンチの芸術作品(モナ・リザ)」「聖杯」に興味を持っている人は必ず読むべし

■『ダブル・ジョーカー』10/05/12UP



蜊L司 角川書店

結城中佐再び

帝国日本陸軍に設立された秘密諜報員養成所通称“D機関”の活躍を描いた『ジョーカー・ゲーム』の続編短篇集だ。

それぞれのタイトルは『ダブル・ジョーカー』、『蠅の王』、『仏印作戦』、『柩』、『ブラックバード』。

おすすめは『柩』だ。

結城中佐と因縁のあるドイツのヘルマン・ヴォルフ大佐が主人公で、彼がスパイだと目をつけた日本人に結城と同じ匂いを感じ取る。

そして過去の回想へと入っていく。

スパイ時代の結城中佐が描かれている。

彼の片手を失った秘密も。

前作『ジョーカー・ゲーム』のファンなら当然買うべき一冊だ。




■『探偵ガリレオ』06/06/11UP



東野圭吾 文藝春秋 

物理学科助教授湯川学と刑事草薙俊介のコンビが活躍するミステリーの短篇集。

なんとなく決まりきった出だし、真相を話したがらないところなどホームズとワトソンによく似ている。

5つの短篇から構成されていて、被害者の死因の引き金となった動詞がそれぞれの題名となっている。

そのタイトルは、燃える「もえる」、転写る「うつる」、壊死る「くさる」、爆ぜる「はぜる」、離脱る「ぬける」。

この短編集の最大の特徴が事件と深く絡んでいる科学

一見何の変哲もない事件にみえるが、不可解な点が必ずあり、刑事草薙は、かつての友人湯川を訪ねることになる。

事件を聞かされても乗り気でない湯川ですが、ふとしたことからスイッチが入り、捜査に乗り出す。

他のミステリーにみられる名探偵たちと違い、湯川は、自分で犯人を追いつめるということはなく、助言と不可解な点の謎解きに専念、草薙に助言もしくは謎を解いて終わりだ。

『容疑者Xの献身』の湯川助教授誕生の短編集なので、興味のある方はどうぞ。



■『予知夢』06/06/11UP



東野圭吾 文藝春秋

物理学科助教授湯川学と刑事草薙俊介のコンビが活躍するミステリー短篇集の第2弾。

今回の題名は殺人事件における不可解な現象を象徴する動詞を題名にしている。

それは、夢想る「ゆめみる」、霊視る「みえる」、騒霊ぐ「さわぐ」、絞殺る「しめる」、予知る「しる」。

事件の特徴として、心霊現象、超常現象が深く関わっていて、刑事草薙は湯川のもとへ合理的な説明を求めにたずねる。

湯川の部屋でのやりとり、インスタントコーヒーといった前置きは以前と変わらずで、さらにおもしろさに磨きがかかっている。

必読の一冊。
 




■『チーム・バチスタの栄光』07/01/07UP



海堂尊 宝島社

田口&白鳥の最強コンビ誕生

〜あらすじ〜

バチスタ手術で、3連続術死が続き、愚痴外来の田口公平が内部監査を担当することに。

私は、個性ある二人がコンビを組み事件の解決にあたるという話が好きです。『シャーロック・ホームズ』のホームズとワトスン、『ABC殺人事件』のポワロとヘイスティングズ大尉しかり、『予知夢』の湯川と草薙などである。

この3コンビの共通項は、探偵役と語り手役が明確に分けられていることだ。

抜群の推理力をもちながらもどこか常識外れの探偵役と常識人だが相方を抑制できない語り手役とほぼ型が決まっている。

決まりきった型ながらもそれぞれが魅力的なキャラクターならば、会話のテンポに引き込まれていく感覚がとても好きだ。

ひとえに筆者の人間観察、描写力にかかっているのだろう。

主人公にして語り手の田口医師は、神経内科の講師。

病院内の出世争いに加わる欲のない40過ぎの独身男だ。

自ら好んで窓際部署を作り、日々患者の愚痴を聞くという医者だ。

彼に病院の看板医師チーム、チーム・バチスタの予備調査という仕事がまいこんでくる。

その経緯や、相棒白鳥との出会いなど説明したいことがたくさんあるが、それだと本の魅力を半減させることになるので、遠慮する。

相手との対話によって情報得るいろんな手段が蘊蓄としてあり、ためになる講釈でいっぱいだ。

医療用語を読み解くのがきついが、白鳥の毒舌と田口の冷静だが諦め気味のツッコミは最高だ。

何度も読み返したくなる1冊。

■『チルドレン』12/10/08UP



伊坂幸太郎 講談社

友人の陣内とともに銀行強盗の人質にとられた鴨居。

彼らは、その銀行の中で盲目の青年永瀬と出会う。

この『チルドレン』は「バンク」、「チルドレン」、「レトリーバー」、「チルドレンU」、「イン」の5つの短編から構成されている。

それぞれが独立した話だが、登場人物に必ず陣内がいるところが共通している。

友人鴨居、後輩武藤、友人永瀬、そして永瀬の恋人優子からの視点で陣内という人物像が描かれている。

この陣内という人物がなかなか破天荒なキャラクターで人質になっているにもかかわらず、歌を歌いだしたりする。

これ以上は本で確認してもらいたい。

また、陣内は家庭裁判所の調査官になっているのだが、その仕事内容がとても興味をそそられる。

陣内曰く、調査官は、「拳銃を持った牧師」らしい。

自分の発言に責任をもたない陣内という人物を読んでみてもいいかも。

■『超・殺人事件‐推理作家の苦悩‐』06/08/05UP



東野圭吾 新潮社

『名探偵コナン』のコミックを読んだり、アニメをみたりすると、自分も一度ぐらい事件に巻き込まれたい衝動にかられることがある。

盗難自転車の職務質問でなく、事件のこととかを聞かれたい。

アリバイは?とか。

そんな不謹慎な欲求もあってか、ミステリーは大好きだ。

内容は、「超税金対策殺人事件」「超理系殺人事件」「超犯人当て小説殺人事件」「超高齢化社会殺人事件」「超予告小説殺人事件」「超長編小説殺人事件(超最終回・ラスト五枚)」「超読書機械殺人事件」で構成されている。

タイトルから判断すると、それぞれ事件が起きていると勘違いするかもしれないが、全く違う

推理小説についての話。

推理小説家、読者、編集者、批評家が主人公で、推理小説とそれに関連することに振り回される話。

以前紹介した『黒笑小説』、『怪笑小説』、『毒笑小説』に入っていてもおかしくないような内容だ。

「超理系殺人事件」以外はとても読みやすいのでおすすめだ。

とくにおすすめは「超税金対策殺人事件」

■『鳥人計画』06/09/13UP



東野圭吾 新潮社

人が鳥になれる唯一の競技

〜あらすじ〜

世界を嘱望された天才ジャンパー楡井明がジャンプから落下し死亡、体内から毒物が検出され…。

飛ぶことに憧れるということは誰にでもあると思う。

ジャンプ板の力を借りながらも、空を飛ぶ職業スキージャンプの世界が殺人事件の舞台。

殺されたのは世界を狙える天才ジャンパー楡井明。

彼の才能や実力をねたむ者は多く、警察は犯人を絞りきれない。

そして、不気味な成長を遂げようとしているジャンパーが登場する。

話は、楡井明のコーチ峰岸徹、ジャンパー沢村亮太、刑事佐久間の視点から進んでいく。

殺人事件と、ジャンプとは何か、そして、遠くまで飛ぶにはどうしたらいいのかに突き動かされた鳥人計画がうまく絡み合ったおもしろい本だ。

楡井殺しよりも、なぜは遠くまで飛べるようになったのかが気になることは間違いない。

刊行された年が古いですし、V字飛行にとってかわった今の飛型などとの関連性はあまりないようだが、スキージャンプに興味のあるかたにおすすめだ。

■『町長選挙』08/06/23UP



奥田英朗 文藝春秋

神経科医伊良部シリーズ第3弾

「オーナー」、「アンポンマン」、「カリスマ稼業」、「町長選挙」の4本立て。

エピソード1はおそらく渡辺恒雄をモデルにしているのだろう。

ナベマンという愛称や、プロ野球の1リーグ制など、共通項が多い。

そのナベマンが死を怖がっているということで伊良部のもとをたずねる。

エピソード2は当然ホリエモン。

球団の買収やノーネクタイ主義など完全にホリエモンだ。

彼は平仮名が書けなくなるという若年性アルツハイマー。

エピソード3は40代に突入してからブレークした女優。

女優という人気商売につきものの悩みである老化。

それを防ぐべく、奇怪な行動をとっている。

そしてラストエピソードが、島に出向となった公務員の話。

これまでになく長いエピソードになっている。

また、患者の病状が話の核になっていた今までと違い、島で4年に1度行われる町長選挙に焦点があてられている。

そこに伊良部とマユミが2ヶ月だけやってくる。

『イン・ザ・プール』、『空中ブランコ』に続くハチャメチャ神経科医の武勇伝第3弾だが、ややネタ切れかインパクトはうすい。

マンネリ化を防ぐためにマユミの描写を増やしたのは吉なのか凶なのか微妙なところ。

個人的には無愛想なセクシー看護師路線のまま、あまり本編にかかわってきてほしくはなかった。

松尾スズキ主演で映画化もされている。

公式サイトはインテリア系のやつに変わっている。

 


 



■『DEATHNOTE アナザーノート ロサンゼルスBB連続殺人事件』06/08/16UP



原作/大場つぐみ・小畑健、著/西尾維新 集英社

豪華な装丁

〜あらすじ〜

FBIを停職中の南空ナオミは、Lから捜査協力を依頼される。

『デスノート』既読者の感想として読んでもらいたい。

舞台はロサンゼルス、原作で少しだけ触れた南空ナオミとLが組んだ事件の小説。

語り手は、メロ。この本の読者は当然、原作を読んでいるかのように物語をすすめていく。

原作ではあまり活躍したとはいえないので、その救済措置かもしれない。

まあ、二アやワタリ、L本人に語らせるよりは、メロのほうが適任だろう。

物語の主人公は南空ナオミ。

彼女の視点から事件の本筋は描写され、メロが補足をするという感じだ。

ページ数もそんなになく、文字通り手記という感じ。

原作のイメージとかけ離れていることもなく、推理小説としてもそんなに悪くはない。

原作の愛読者ならば楽しめると思う。

一つ気になったのは、表紙に記された著者名がアンビグラムぐらむになっていたことぐらいだ。


■『デセプション・ポイント〜DECEPTION POINT〜』05/10/01UP



ダン・ブラウン Dan Brown

訳:越前敏弥  角川書店

〜あらすじ〜

アメリカ大統領選を控えた時期、国家偵察局(NRO)の職員レイチェル・セクストンは大統領に呼び出され、NASAの大発見を視察し、報告してくれと頼まれる。

睡眠薬がわりの読書が逆に眠れなくなる代物だったが、とりあえず夢をみさせていただいた。

夢があるようで夢がないといったほうがいいかもしれない。

まず、圧倒的な情報量

特にデルタ・フォースに関する記述には驚いた。

テロリストがこれ読んだら絶対ビビりそうなハイテクメカが登場する。

もう想像力が働かないぐらい最新技術が使われているんでぜひ映画化してもらいたい。

この本のすごいところはそれだけではない。

その蘊蓄だけに頼らず、主人公レイチェル、現大統領、対立候補セクストン上院議員(レイチェルの父)、その秘書ガブリエールなど十数人ほどの登場人物が数ページずつで主人公となっていくので、事件全体をさまざまな角度から捉えることができる。

聖杯の謎にインパクトがありすぎた『ダ・ヴィンチ・コード』と違ってNASA大発見の裏に隠された陰謀には驚きを隠せない。

続きが気になるところでの視点変更は少々もどかしいが、『24』の演出に似ていてうまかった。

大統領選さなかというのも1stシーズンと同じだ。(※1stシーズンは大統領予備選当日の24時間)

■『手紙』08/04/23UP



東野圭吾 文藝春秋

犯罪加害者家族の苦悩

〜あらすじ〜

たった一人の家族である兄の武島剛志が強盗殺人の罪で捕まった。

高校生の直貴はたった一人で生きていくことになるのだが、犯罪者の肉親という事実が彼にはついてまわる。

犯罪被害者の家族というものはテレビでもモザイクがかかりながら放送され同情を誘うものだが、犯罪加害者の家族もまた大変である。

随分前にバスジャック犯が佐賀出身だったということで未成年ながら〜高校の誰々だと情報が広まったことが佐賀ではあった。

加害者家族は引っ越したそうだ。

この本を読んでふとそんなことを思ったのだが、犯罪加害者の家族もまた被害者であることを認識させられる。

直貴についてまわる剛志の罪。

身内に強盗殺人罪の受刑者がいるということで受ける差別を描いた社会派作品。

映画化されているようだがまだ見ていない。

この方の本ばかり感想を書いているが、映画のほうは全くみていない。

今でこそ就職試験の履歴書から両親の職業などを記入する項目がなくなったり、面接で質問することは不適切となっていて本人の資質や適性などで採用が決まっているが、執筆当時は当然両親の職業も重要視されていただろう。

強烈な印象を残した人物は直貴の就職先の社長だ。

彼から直貴へのアドバイスには心臓をわしづかみにされたかのような衝撃を受けた。

第4章316ページから324ページまでのくだりだ。

内容を書きたいところだが、肝の部分でもあるし、打ち込むのが面倒なので、立ち読みするか図書館で借りるか、買うかしてほしい。



■『天使と悪魔〜ANGELS&DEMONS〜』05/10/25UP



ダン・ブラウン Dan Brown

訳:越前敏弥 角川書店

〜あらすじ〜

ハーヴァード大教授ロバート・ラングドンはスイスのセルン(欧州原子核研究機構)から呼び出され、研究員レオナルド・ヴェトラの遺体に押された焼印の説明を求められる。

それは消滅したといわれる伝説の秘密結社イルミナティのもので・・・。

宗教と科学の対立がテーマといわれても、実際のところあまりピンとこなかった。

しかし、これを読んでその溝の深さがなんとなく分かった気がする。

人知を越えた力を神の力と信じるか信じないかだ。

これは犬猿の仲にもなるはずだ。

これらの対立がこの本の根底にあるわけだが、先に感想を書いた『ダ・ヴィンチ・コード』『デセプション・ポイント』との類似点として男女のパートナーが真相究明に当たることが挙げられる

ここではレオナルド・ヴェトラの養女ヴィットリアとご存知ロバート・ラングドン。

彼らがローマの街を駆け抜ける。

『ダ・ヴィンチ・コード』の聖杯に隠された謎に比べるとヴァチカン、セルンの秘めた謎はインパクトがない。

しかし、ガリレオの啓示の道の謎解きはハラハラドキドキものだった。

ストーリーのみを比べるならおもしろさはこっちのほうが上だと思う。

謎の他に興味をそそったのがアンビグラム。逆さにしても同じ文字のことだ。

回文なんかとはわけが違う。

陰陽のマークなどのことだ。

イルミナティダイヤモンドのアンビグラムなどはすごかった。
 



■『同級生』06/11/26UP



東野圭吾 講談社

学園推理物の見本版

〜あらすじ〜

野球部マネージャー宮前由希子が交通事故で死亡、しかも妊娠していたとあって、由希子と親密な関係にあった荘一は事件について調べ始める。

事故の真相、さらに第二、第三の事件も絡み合い複雑になっていく。

果たしてその真実とは…。

西原荘一、高校3年生、野球部キャプテンが本作の主人公。

野球部の高校3年生ということで、自分の高校3年生、甲子園目指して練習していた日々を思い出した。

本作の探偵役は、主人公である西原荘一。

探偵役とはいえ、コナンや金田一少年と違い普通の高校球児のため、推理も中途半端であり、読者に推理させるようになっている。

少しずつヒントを出したり、事件を解きながらも、断定を全くしないところがにくい。

また、主人公の意味深な独白が随所にみられ、最後まで気を抜けないミステリー。

高校球児が主人公ということでノスタルジックな感傷にふけってたのはいうまでもない。

■『トキオ』05/12/28UP



東野圭吾 講談社

料理のあてっこする5人組のことではない

〜あらすじ〜

宮本拓実は、息子時生(トキオ)の命の灯火が消えようとしている中、妻麗子に不思議な体験を語りだす。

それは、23歳のとき、息子時生に出会っていたことだ。

ファンタジーが少し入った人間ドラマ。

ドラマの出発点と到着地点が物語冒頭から明確に示されていて、その過程をハラハラドキドキしながら楽しむことができる。

作品の雰囲気としては、『いま、会いにゆきます』と『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を7:3でミックスした感じだ。

今の拓実と23歳の拓実の違い、息子トキオの謎の行動がラストに大きく影響していく。

現在と過去の拓実は、正直ここまで違うかと思えるぐらい別人に描かれている。

そして、彼らの性格の違いと親子を感じさせる描写が緊張感と共に不思議な癒しを感じた。

映画化の予定でもあるのかと検索してみると、ドラマ化されていたようだ。

しかもTOKIOの国分太一さんが拓実を、嵐の櫻井翔さんがトキオを演じている。

『毒笑小説』





■『匿名口座〜NUMBERED ACCOUNT〜』05/10/20UP



クリストファー・ライク Christpher Reich

訳:土屋京子

〜あらすじ〜

ニコラス・ノイマンは父親の謎の死の真相を探るためウォール街での生活を捨て、USB(ユナイテッド・スイス・バンク)に転職する。

タイトルどおり匿名口座の主が関わってくる。

この本のなかでは匿名での口座開設はできず、本名と身分証明が必要なわけだが、そのシステム導入前は簡単に口座が開け、口座番号とパスワードのみでオッケーだったのだ。

そして、マネーロンダリングの疑いがかかった人物がUSBに匿名口座を持ち、麻薬の取引に関与しているとしてアメリカから捜査官が派遣されてくる。

マネーロンダリングとは資金洗浄のことで、不正に手に入れた資金の出所を金融機関や口座間の移動でわからなくすることだ。

この本、経済用語がたくさん出てくる。

まず、株だ。

持ち株がどうとか。

買い注文とか。

あと、スイスが舞台なためお金の単位がフランだ。

予備知識不足はきつかった。

まず、株がわからないというレベルなんで。

まだ戦術核兵器とかベレッタのほうがピンとくる。

話そのものは興味深かったのだが、前述のとおりあまりピンとこなかったので、なんとか読了したという感じだ。

■『どちらかが彼女を殺した』07/03/27UP



東野圭吾 講談社

どっちが彼女を殺したんだ!

〜あらすじ〜

和泉園子が自室で死んでいた。兄康正は彼女の死体の第一発見者だった。

妹は誰かに殺されたと確信し、1人捜査を開始する。

最後まで真犯人を明かさない本格ミステリーだ。

犯人候補は2人。

園子の恋人と親友だ。

どちらかが彼女を殺した

らしい。

最後の最後まで犯人は明かされず、後は自分たちで考えろということらしい。

ぶっちゃけ、どっちか分からない。

袋とじにヒントがあるようだが、わからない。
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