咆哮と彷徨の記録

日記2012年627日〜2013年月日

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■6月27日(水) 『真夏の方程式』本と『あの頃のだれか』本の感想





■『真夏の方程式』12/06/27UP



東野圭吾 文藝春秋

どんな問題にも必ず答えがある

デスメック社から電磁探査についての説明を求められ玻璃ヶ浦へと出向いた湯川。

行きの電車の中で知り合った少年恭平が宿泊する「緑岩荘」について知り…。

ガリレオシリーズ最新作は、湯川が宿泊することになった宿が物語の舞台だ。

自然保護を訴える女性、夏休みに叔父叔母のところに預けられた少年の視点から物語が展開していく。

子ども嫌いを自負していた湯川が恭平と仲良くなる(?)などこれまでにない展開が期待される。

湯川の恭平に対する物言いは難しすぎる気がするが、彼の誠実さ、まじめさはより際立っている。

これまでは、草薙や内海との会話がほとんどだったため、新鮮に感じる。

『容疑者Xの献身』、『聖女の救済』などの驚愕のトリックと比べるとややインパクトにはかけるが、それを打ち消すほどの魅力がある作品。

とくにラストの湯川が少年に諭すシーンがすばらしい。

ミステリーというよりも人間ドラマとして読むほうがいいだろう。

おすすめの一冊である。







■『あの頃のだれか』12/06/27UP



東野圭吾 光文社

短編集

長編とまではならなかったり、長編小説の別タイプといったものの集められた短編集。

テーマがあって統一されているわけではないので、世に出る機会のなかった作品たちを出してしまおう的なものだ。

「シャレードがいっぱい」、「レイコと玲子」、「再生魔術の女」、「さよなら『お父さん』」、「名探偵退場」、「女も虎も」、「眠りたい死にたくない」、「二十年目の約束」

なかでも「シャレードがいっぱい」がおもしろい。

主人公の彼氏が殺されるのだが、その真相には遺産相続が関わっている。

主人公は名探偵じみた行動をとり…。

という内容。

作者にしては珍しい女性視点からのストーリーテリングのため新鮮に感じた。

オチがすばらしいのは「女も虎も」だ。

立ち読みでもかまわないので(※失礼)、ぜひ一読をしてほしい。

まあ、男性読者はすぐには笑えないが。


■9月22日(土) 『殺意は必ず三度ある』(本)と『もう誘拐なんてしない』(本)の感想



みなさん、こんにちは、管理人のJack船長です。

長いこと更新ができませんでした。

というのも父にネットのモデムを没収されるという事態に陥ったんですよ。

原因は妹のネット中毒なんですが。

久しぶりの更新は、東川篤哉氏の作品です。




■『殺意は必ず三度ある』12/09/22UP



東川篤哉 実業之日本社

鯉ヶ窪学園探偵部再び!

相変わらずの鯉ヶ窪学園探偵部の3人の前に野球部キャプテン土山が相談事を持ってくる。

その相談の内容とは、朝6時半からの早朝練習時にグラウンドにベースがないという珍事件についてだった。

普通ベースは練習後に片付けるものだが、まあ細かい事はおいとこう。

そんな縁もあり、探偵部の部長多摩川流司と部員赤坂通は、鯉ヶ窪学園と飛龍館高校の練習試合の観戦に完成したばかりの飛龍館野球場へ。

キャプテンの土山のサヨナラホームランで試合の幕が閉じたかに見えたが、バックスクリーンをのぞきこんだセンターがなんと鯉ヶ窪学園の監督野口啓次郎の死体が見つけたのだ。

今回の舞台は野球場。

野球場を舞台にしたミステリは私にとって初めてだ。

事件の解決に乗り出すのはもちろん主人公の3人だ。

前作では顧問の石崎に助けられたが、今回は?

私自身、小学校から野球をしていたため、とてもおもしろく読むことができた。

ここまで出版された東川篤哉作品のなかでダントツの1位だ。

まあ、野球をしていたからという贔屓目はぬきにしてもおすすめの青春ミステリとなっているのでぜひ甲子園の真っ只中に読んでもらい作品だ。





■『もう誘拐なんてしない』12/09/22UP



東川篤哉 文芸春秋

下関を舞台にした誘拐事件

20才の大学生樽井翔太郎は、夏休みのバイトを求めて、先輩甲本一樹のもとをたずねる。

彼からたこ焼き屋の屋台を任された翔太郎は、北九州市の門司区でたこ焼きを売り始める。

そんなある日、学校帰りの女子高生花園絵里香に助けを求められる。

彼女は離れて暮らす妹の手術費用のために狂言誘拐を翔太郎に持ちかける。

ユーモアミステリといえば、このおかたしかいない。

ご存知東川篤哉氏だ。

今回の主人公は、大学生樽井翔太郎だ。

まあ、どこにでもいる普通の大学生である。

そして、もうひとりの主人公が、花園絵里香の姉、皐月である。

彼女は、家事手伝いだが、実質花園組の親分的存在なのだ。

彼らの狂言誘拐がうまくいくのかどうかが見所、いや、読み所であるのだが、ネタばらしをすると、狂言誘拐自体はどうでもよくなる。

すでにドラマ化されているため、ご存知の方も多いこの作品。

楽しむべきは、やはり著者の魅力があふれている地の文だ。

こればかりはドラマや映像にない著者の魅力なのでぜひ読んでもらいたい。


■9月30日(日) 『王様ゲーム』(本)と『小説ルパン三世』(本)の感想





■『王様ゲーム』12/09/30UP



金沢伸明 双葉社

王様の命令は絶対!!

県立玉岡高校1年B組の生徒全員の携帯電話がメールを受信する。

その内容は合コンでおなじみ王様ゲームの指令だった。

24時間以内にその命令に従わなかった場合…。

携帯小説といえば、この『王様ゲーム』が一番に挙げられるだろう。

『バトルロワイヤル』なみのおもしろさを期待して読んだ。

うん、途中で寝てしまった。

確かに続きが気になるリーダビリティではあるのだが、主人公に今ひとつ魅力が感じられないところが残念なところ。

主人公に感情移入して読めなかった。

携帯電話やスマートフォン、電子書籍などで本を読んだ経験がないので、評価していいものかどうかわからないが、少なくとも文庫化しての魅力はあまりない。





■『小説ルパン三世』12/09/30UP



大沢在昌、新野剛志、光原百合、樋口明雄、森詠 双葉社

ルパン三世活字

国民的人気キャラクタールパン三世の小説版だ。

「拳銃稼業もラクじゃない」、「バンディット・カフェ」、「1−1=1」、「深き森は死の香り」、「平泉黄金を探せ」の5つの短編が収められている。

「拳銃稼業もラクじゃない」は、早撃ち大会に参加することになったルパンたちとこの国の王女のお話。

次元の弟弟子が登場し、話を盛り上げる。

「バンディット・カフェ」は、金庫破り血祭三郎が持つ鍵を求めて、カフェにやってきたルパン一行だったが、伝説の大泥棒ジャン・パタンの金庫を開けるハメになる。

「1−1=1」は、物語の視点がルパンたちではなく、錠太郎という金庫作りの職人が主人公だ。

葛城という大富豪から金庫作りを依頼される。

葛城は、玉野蒼司という画家の絵を寵愛していて、その絵をルパンから守りたかったのだ。

このルパン一味VS錠太郎の頭脳戦が見所、個人的には5つのうちで一番のおすすめだ。


■10月8日(月) 『フィッシュストーリー』(本)と『チルドレン』(本)の感想





■『フィッシュストーリー‐a story‐』12/10/08UP



伊坂幸太郎 新潮社

ほら話を英語でフィッシュストーリーというらしい。

この『フィッシュストーリー』は4つの短編で構成されている。

「動物園のエンジン」、「サクリファイス」、「フィッシュストーリー」、「ポテチ」だ。

「サクリファイス」、「ポテチ」には伊坂作品『ラッシュライフ』でおなじみの泥棒黒澤が登場する。

おすすめは表題になっている「フィッシュストーリー」だ

あるロックバンドの曲が世界を救うという話だ。

完璧にオチを言ってしまったが、そこにいたるまでの話の展開がおもしろい。

とくに曲ができるまでのミュージシャンたちの苦悩と覚悟だ。

次におもしろいのは「ポテチ」だろう。

『重力ピエロ』の縮小版といったところだ。

主人公の今村と泥棒大西のやりとりがとても愉快だ。

彼らの掛け合いこそ伊坂作品の真骨頂だ。





■『チルドレン』12/10/08UP



伊坂幸太郎 講談社

友人の陣内とともに銀行強盗の人質にとられた鴨居。

彼らは、その銀行の中で盲目の青年永瀬と出会う。

この『チルドレン』は「バンク」、「チルドレン」、「レトリーバー」、「チルドレンU」、「イン」の5つの短編から構成されている。

それぞれが独立した話だが、登場人物に必ず陣内がいるところが共通している。

友人鴨居、後輩武藤、友人永瀬、そして永瀬の恋人優子からの視点で陣内という人物像が描かれている。

この陣内という人物がなかなか破天荒なキャラクターで人質になっているにもかかわらず、歌を歌いだしたりする。

これ以上は本で確認してもらいたい。

また、陣内は家庭裁判所の調査官になっているのだが、その仕事内容がとても興味をそそられる。

陣内曰く、調査官は、「拳銃を持った牧師」らしい。

自分の発言に責任をもたない陣内という人物を読んでみてもいいかも。


■10月15日(月) 挟撃のイャンクック



私は参加していません。



■10月17日(水) 挟撃のイャンクック




■10月26日(金) 挟撃のイャンクック




■10月30日(火) 挟撃のイャンクック




■11月1日(木)   『臨場』(本)と『カラスの親指』(本)の感想





■『臨場』12/11/01UP



横山秀夫 光文社

終身検視官の鑑識

L県警の終身検視官のあだ名をもつ倉石義男は、鑑識を長年務め、その眼力の鋭さを確かさは、伝説となっていた。

そんな彼の事件が8つ収められているのがこの『臨場』である。

倉石本人視点は全くなく、彼の部下や新聞記者、上司から見た彼の行動で倉石の人物像がわかる。

「赤い名刺」は、倉石の部下一ノ瀬からの視点。

若い女性の自殺現場に臨場した二人。

女性が元愛人だった一ノ瀬は倉石にばれないよう工作しようとするが…。

「眼前の密室」は、新聞記者相崎靖之が“夜廻り”しているときに起きた殺人事件。

倉石の登場はないものの、別に名探偵がいるというこの短編集の中ではやや異色作。

「鉢植えの女」は、再び一ノ瀬の視点。

個人的には倉石の鑑識に対しての想いが感じられる一編で、一番のおすすめだ。

「餞」は、L県警退職を控えた小松崎周一の視点。

彼に毎年届く年賀状と暑中見舞いの謎を倉石が解くというお話。

そのほか「声」、「真夜中の調書」、「黒星」、「十七年蝉」など多数収録されている。





■『カラスの親指』12/11/01UP



道尾秀介 講談社

サギ師たちの人生

武沢竹夫46歳は妻と娘をなくしてから詐欺師として暮らしていた。

そんな彼のもとに入川鉄巳ことテツさんが転がり込んできた。

暗い過去をもつ二人だったが、楽しく暮らしていた。

そんなある日、武沢のアパートが火事に遭う。

家を失った二人は、荒川でアパートを探す。

あらすじをこれ以上書くのは面倒なので感想へ。

相変わらず、道尾さんの作品はどんでん返しがすごい。

最近読んだ綾辻行人氏の『館』シリーズもそうだったが、ラストに得られる驚き、あっといわせる文章はさすがの一言だ。

お金に深く関わる人生を送ってきた武沢は、ある取立てやからの報復を恐れている。

彼に取立て屋の影が迫り、ついに取立て屋と対決することを決意する。

道尾さんの作品は、主人公に特殊能力がある人物が多いが、この武沢という人物にはなく、トリックの鍵は彼が握っていない。

そういうわけで自分はまんまと作者の仕掛けにはまってしまった。


■11月29日(木)   フンドシ部 旧密林に走る稲妻パート1



「旧密林に走る稲妻」フルフルをフンドシ部員たちが防具なしで倒してきました。

今回、私は参加していません。


■12月7日(金)   フンドシ部 旧密林に走る稲妻パート2



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